空気中に漂う細かな氷の結晶が光を受け、きらきらと見えるダイヤモンドダスト。
北海道の冬を代表する光景の一つですが、現地に行けば必ず見られるものではありません。
見るなら、時期や場所だけでなく、その朝の冷え込みや風まで気にする必要があります。
本文の気象条件、観察地、平年値、スマホ撮影の注意点は2026年9月に確認しました。
目次
ダイヤモンドダストとは何か

気象用語では「細氷(さいひょう)」と呼ばれます。
気象庁は細氷を、大気中の水蒸気が昇華し、ゆっくりと降下する微細な氷の結晶と定義しています。
雪も細氷も氷の結晶ですが、気象観測では別の現象として扱われます。
細氷は、よく晴れた厳寒時に大気中に浮かび、ゆっくり降下する非常に小さな結晶です。
太陽の光を反射すると、ダイヤモンドの粉のように見えます。
出典:気象庁「気象等の用語」、旭川地方気象台「ダイヤモンドダストのはなし」
実際に見たときの印象
ダイヤモンドダストは実際に見たことがあります。
息をのむほど感動した、というような体験ではなく、見たときに「すごくきれいだな」と思ったくらいです。
うまく言葉にできるほど大きな感情が動いたわけではありませんが、無理に盛らずに言えば、その素直な一言がいちばん近い感想です。
発生する条件
ダイヤモンドダストが見られるには、いくつかの条件が同時に揃う必要があります。
- 気温が十分に低いこと:旭川地方気象台は、明け方に氷点下10℃以下となる地域で見られることがあると案内しています
- 晴れていること:結晶が光を受けると、きらめきを目で捉えやすくなります
- 風が弱いこと:旭川地方気象台は「風のない日」、美瑛町観光協会は「風があまりないこと」を条件に挙げています
- 水蒸気があること:美瑛町観光協会は、ある程度の湿度も条件に挙げています
- 時間帯:明け方から朝にかけてが中心です
- 時期:北海道では厳冬期の1〜2月頃が中心です
美瑛町観光協会は氷点下10〜15℃以下を目安にしています。
数値だけで判断せず、冷え込み、風、晴天、湿度をまとめて見る必要があります。
出典:旭川地方気象台「ダイヤモンドダストのはなし」、美瑛町観光協会「雪の色 神秘の冬景色」
条件が揃っても見られないことがある
低温・晴天・無風が揃っていても、湿度などの条件次第では十分に観察できないことがあります。
つまり、「この日に行けば見られる」と計画できる現象ではありません。
雪景色や温泉、食事など朝以外の予定も組み合わせておくと、天候に左右されにくい旅程になります。
北海道のどこで見られるのか

北海道では、旭川、美瑛、名寄で観察例や冬の見どころとして案内されています。
- 旭川:旭川地方気象台が、厳しく冷え込んだ朝の観測例を紹介しています
- 美瑛:美瑛町観光協会が、市街地で見られた例と発生条件を掲載しています
- 名寄:なよろ観光まちづくり協会が、冬の自然現象としてダイヤモンドダストとサンピラーを案内しています
出典:旭川地方気象台、美瑛町観光協会、なよろ観光まちづくり協会
実際にどのくらい冷え込むのかは、気象庁の平年値で確認できます。
1〜2月の「日最低気温の平年値」を並べると、同じ内陸でも地点差がはっきり出ます。
| 観測地点 | 1月 | 2月 |
|---|---|---|
| 江丹別(旭川市) | -16.3℃ | -16.3℃ |
| 朱鞠内(幌加内町) | -15.4℃ | -15.8℃ |
| 美瑛 | -14.8℃ | -14.7℃ |
| 名寄 | -14.7℃ | -14.9℃ |
| 幌加内 | -14.5℃ | -14.5℃ |
| 帯広 | -13.0℃ | -12.0℃ |
| 旭川 | -11.7℃ | -11.8℃ |
数字を並べてみると、同じ旭川市内でも中心部と江丹別では1月の日最低気温の平年値に4.6℃の差があります。
「旭川へ行く」とだけ決めるより、朝をどこで迎えるかまで考えたほうが現実的です。
ただし、この数字は1991〜2020年の30年平均であって、その朝の気温ではありません。
平年並みの朝でどこまで下がるかの目安と考え、実際の旅行では当日の気温、風、天気予報を確認してください。
出典:気象庁「過去の気象データ検索」各観測地点の平年値(1991〜2020年。表の地点名から各ページへリンク)
旭川、美瑛、名寄などで朝を迎えられるようにしておくと、冷え込んだ日に動きやすくなります。
見るなら、朝の動き方まで決めておく

前日から近くに泊まる
発生は明け方から朝が中心です。
朝から探すなら、前日のうちに候補地の近くへ泊まっておくほうが動きやすいでしょう。
立ち止まる時間まで考えて防寒する
氷点下10℃以下まで冷えた屋外で、しばらく待つ可能性があります。
歩き続ける観光よりも念入りな防寒が必要です。
手袋、帽子、耳あて、厚手の靴下、滑りにくい靴を用意し、カメラを使うなら手袋をしたまま操作できるかも確認しておきます。
1泊に絞らない
1泊だけでは条件が揃わないことがあります。
連泊すれば、観察に充てられる朝の回数を増やせます。
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スマホで撮るなら、最初に光の向きを探す
肉眼ではきらきら見えても、スマホを向けると氷の粒が背景にまぎれることがあります。
細かな設定を触る前に、太陽が粒の向こう側に来て、後ろに木立など暗い背景が入る位置を探します。逆光ぎみにすると、光を受けた粒を画面上で見つけやすくなります。
ピントが安定しないときは、画面をタップしてピント位置を変え、粒が見えやすい位置を探します。
iPhoneは長押しでAE/AFロックができ、表示されるスライダーで露出も調整できます。
雪が白く飛ぶ場合は、画面を見ながら少し暗くします。
機種によって名称は異なりますが、露出を調整できる場合は考え方は同じです。
デジタルズームは使いすぎず、まず標準倍率で数枚撮影します。
粒の漂い方は静止画だけでは伝わりにくいため、短い動画も残しておくと見返しやすくなります。
撮影設定に時間を使いすぎず、最初に写真を数枚、そのあと動画という順番なら、肉眼で見る時間も削りません。
もう一つ気をつけたいのが寒さです。
AppleはiPhoneの使用時の適切な周辺温度を0〜35℃とし、極端な低温ではバッテリー消費が一時的に早くなったり、電源が切れたりする場合があると案内しています。
撮影しない間は端末を出しっぱなしにせず、寒い屋外から暖かい室内へ戻る際は、急な温度変化にも注意します。
撮影機器の結露対策として、キヤノンはバッグやポーチからすぐに出さず、室温へ徐々になじませる方法を案内しています。
出典:ソニー「自然風景撮影の概念を根本的に変えたα7R III」、ソニー「写真家 井上浩輝氏・撮影の流儀」、Apple「iPhoneのカメラツールを使って撮影を設定する」、Apple「iPhoneやiPadが高温または低温になりすぎた場合」、キヤノン「カメラの結露を防ぐ方法」
よくある質問
Q. ダイヤモンドダストは何度で発生しますか?
A. 旭川地方気象台は、北海道では1〜2月頃、明け方に氷点下10℃以下となる地域で見られることがあると案内しています。
美瑛町観光協会は氷点下10〜15℃以下を目安にしています。
気温だけでなく、風、晴天、湿度も関係します。
Q. 札幌で見られますか?
A. 札幌で起きないとは断定できません。
ただ、1月の日最低気温の平年値は札幌が-6.4℃、旭川が-11.7℃で、旭川地方気象台が示す氷点下10℃以下の目安を札幌の平年値は上回ります。
観察を旅の目的にするなら、公式に観察例が紹介されている旭川・美瑛・名寄のほうが候補にしやすいでしょう。
Q. いつ行けば見られますか?
A. 1〜2月の明け方が中心です。
ただし条件が揃っても観察できないことがあるため、日付を決めて確実に見る、という計画は立てられません。
Q. 雪とは違うのですか?
A. 気象庁は「雪」と「細氷」を別の用語として掲載しています。
細氷の定義は、大気中の水蒸気が昇華し、ゆっくりと降下する微細な氷の結晶です。
まとめ

ダイヤモンドダストは、気象庁が「細氷」と呼ぶ現象です。
北海道では1〜2月頃、厳しく冷えた風の弱い朝が観察の候補になります。
湿度と晴天も必要で、気温だけでは決まりません。
条件が揃っても見られないことがあるため、ダイヤモンドダストだけで旅程を組むのは難しい現象です。
旭川、美瑛、名寄などで複数の朝を過ごしつつ、雪景色や温泉、食事も予定に入れておく。
見られたらうれしい冬景色の一つとして探すほうが、無理のない旅になります。
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